瀧澤奈那 - Nana Takizawa -

瀧澤奈那(Nana Takizawa)の作品をFUYOOでお取り扱いすることになりました。 装飾を抑えたシンプルな造形でありながら、確かな存在感を宿す瀧澤さんの作品。艶やかな黒の花器、しっとりとした表情をもつ器は、使うほどに暮らしの風景に溶け込んでいきます。 今回は、ものづくりを始めたきっかけから、作品づくりで大切にしていること、そして作品に込めた想いについて、お話を伺いました。


Artist Interview

子供の頃から手を動かすことが好きだったという瀧澤奈那さん。 転機となったのは、大学時代に少しの間暮らしたアメリカ・オレゴン州ポートランドでの経験でした。クラフト文化が根付くこの街で、ものづくりを生業とする人たちの姿を目の当たりにし、「ものをつくって生きる」という選択肢がはじめて自分の中に芽生えたといいます。大学卒業後は内装設計会社に就職し、空間づくりに携わる中で、自分の手でつくりたいという気持ちが少しずつ明確になっていきました。陶芸教室に通う中でその思いはさらに強まり、本格的に学ぶため会社を退職。京都の陶器の訓練校へ入学し、現在に至ります。


作品づくりで大切にしていること

一見すると簡素で潔い佇まい。その中で確かに呼吸しているような器を目指して制作しています。器については日本・海外を問わず古道具が好きで、そこから大きく影響を受けています。古い器に魅力を感じるのは、どんな時代を生き抜いた器なのか、どんな背景の中で生まれたのかを想像できること。そして、長い時間の中で刻まれたシミや欠けが、本来は無機物である器を有機的に感じさせてくれるところに魅力を感じています。直接的に個性的な形をしていなくとも、佇まいから息遣いを感じられるようなものづくりを目指しています。

土と釉薬が描く表情

シンプルな色味、形だからこそ、土選びから焼き上がりまで、質感・色味・肌触りを細かく追求しました。特にお皿の表面に出る貫入(釉薬表面に入る細かなヒビ)が、細かすぎず大きすぎず、しっとりとした表情になるよう、テストを繰り返し、細かく調整しています。



黒という色に込めた想い

花器やオブジェについては、単体でオブジェになり得る個性を持ちながらも、工業的なイメージのあるツヤのある黒を使うことで、所有者によって自由に表情を変えられるものを目指して制作しています。黒であることで、さまざまなシーンに馴染み、お花であればどんなものにも合わせやすくなります。所有者の方に、どう使おうかと「見立てる」ことを楽しんでいただきたいという想いがあります。

使い手へ届けたいこと - 自由に見立てる楽しさ

黒いシリーズは、「どのように使おうか」「どこに置こうか」と、自由に想像しながら楽しんでいただけたら嬉しいです。例えばフレームはガラスを入れていないため、写真や絵だけでなく、立体物を飾ったり、あえて何も入れずに飾ったりと、さまざまな楽しみ方ができます。作品を通して、自分らしい使い方を考える時間そのものを楽しんでいただけたらと思っています。 器については、表面にしっとりと刻まれた貫入が光の当たり方によって様々な表情を見せ、使い込むほどにゆっくりと色づいていきます。暮らしの中で少しずつ変化していく、その移ろいも含めて、長く楽しんでいただけたら嬉しいです。

瀧澤奈那さんにとって余韻が残る瞬間

熱々の器を窯から出し、冷めていくときに、器に貫入が刻まれていきます。窯から出したたくさんの器から、鈴のような高く柔らかい音が響くのですが、その窯出し後の時間が、私にとっての余韻です。


瀧澤さんのお話を通して感じたのは、そうした目には見えない時間の積み重ねが、作品の表情をつくっているということでした。艶やかな黒い花器も、しっとりと貫入の刻まれた器も、使う人や過ごす時間によって、それぞれ異なる表情へと育っていきます。その移ろいもまた、作品の魅力のひとつとして、暮らしの中でゆっくりと楽しんでいただけたら嬉しいです。


Nana Takizawa 

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